ほっとする時間をお届けしたい、
そんな一で。
家族のために休みなく動き回る毎日、そんな時ほんの少し自分のためにいっぷくする、ちょっとしたくつろぎ、やすらぎ、ほっとする時間を大切にすることは必要です。いっぷくほっとすると楽になってまた頑張る力がわいてきます。
- 仕込みが命。
職人はそれを手で感じる
温度、堅さ、触ったときの音
五感を使って
みごとに判断する - 何事もことを成すためには、仕込みが大切だと思う。料理も子育ても手焼きせんべいも みな同じこと。最近ではとんと見なくなったが、昔は近所にかならず「うるさい」おっちゃんや おばちゃんがかならずいたもんだ。わが子でも人の子でも処かまわず容赦なく叱り飛ばす「かなわん」おっちゃんに叱られたものだ。あのおっちゃんにバレむないようにワルさを する生きがい!うまくだませたら、してやったりと得意になったりした。
近所のウルサおやじ
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そんなおっちゃんとは、小さいときから私のことも、家族のこともすべて知り尽し、子ども会やら村の祭りで一生懸命私たちに世話を焼いてくれた人々だったような気が する。「あのおっちゃんに言われたらしゃあないがな」と思わせる何かがあったのだ。 確かに良い時代ではあった。
物があふれ返る豊かな時代にはなったが、そんななつかしい「おっちゃん」はもういない。そんな私も、近頃は近所のこどもを叱るのに、ちゅうちょしてしまう。 なぜかというと、その子たちと日頃の人間関係をきちんと作れていないからだと思う。なかには、むかし子ども会の役をしてた頃、気になるちょろちょろした子がいて、いろいろ気を 揉んで、お世話したりもしたが、そんな子には今でも唯一、エラそーにしゃべることが できる。
コンビニの前で学生数人がたむろしているのを見ると、はっきり言ってコワイ。しかし、そんな中に昔の「ちょろちょろ」を見つけた日にぁ、そりゃあ鬼の首を取ったように、うれしくほっとする。勇気を出して話しかけてもリアクションがある。
小さな喜びである。
水が命
何の話をしてたんやったかいな・・・。そうそう「仕込み」の話やったな。
えらい長い前フリやったが、何事も日頃の「仕込み」が大事ということや。
わが子のことも、ことが起きてからではもうすでに手がつけられない。
わが家の場合も、もう手遅れ・・・。
また話がそれてしまった。手焼きの話にもどろう。
手焼きの場合も仕込みが命。せんべいの場合は、食品はみなそうやと思うが湿度と温度の管理が なにより大切。0.5%水分量が違うと、同じように焼いても、似て非なるものになってしまう。職人はそれを手で感じる温度、堅さ、触ったときの音など五感を使ってみごとに 判断する。職人芸とはこのことだ。
われわれの世界では、各工程を経て、焼く直前の仕上げ乾燥を 「焙炉」(ほいろ)といってうちでも、工場長の仕事である。
大きな量産菓子メーカーの工場長はといえば、水分管理が主な仕事だ、という話も聞いたことがあるくらい。
手焼きというとむずかしそうだが、焼く直前までにキチッと水分、温度があっていれば、そう難なく焼ける。
逆に「焙炉」がキチンと取れていないと焼く時点で、どんなに腕の立つ職人でもゴマかすことはできない。もちろん素材も他の工程もみな大事だが、これがキチンとできないとすべて台無しにしてしまうということだ。
- 手焼きの心
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焼く作業も、せんべいの生地の気持ちになれば、今ひっくり返して欲しいのか、今こそ醤油を 刷毛で塗って欲しいのかわかる。
せんべいを焼くときは、(ひっくり)返せば返すほどいいものができる。あとは手間を惜しまず こつこつ焼けばよい。
アツアツの焼き立てに間髪入れず、醤油をハケでぬる。ジュッといって醤油のほとんどの水分 が一気に飛んでしまう。すぐそのままほうばったら、なんともいえぬこのウマさ!
焼きたて、出来立ては最高です。うちの「ぬれせん」はもう一度電子レンジでチンするとそれがよみがえります。もちろん焼きたてにはかないませんが。
ひまとお金が許す方は、どうぞウチのお店においでください。運がよければ、アツアツの ぬれせんが試食できますので。
- 米や塩や醤油など、
ものづくりに命を賭けた人の大切な素材を
使わせていただいて、
じっくり丁寧に造るこの喜び! -
- 玄米せんべいはこうして作る!
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自然農法を実践する生産農家からいただく原料の完全無農薬玄米。前処理が終わった玄米を釜で蒸す。
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蒸しあがった玄米のもち生地。冷やしながら生地の堅さ、温度など手で探りながら生地の気持ちを聞く。
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生地全体が均一の温度になるようによく練る。ここでゴマ等を練り込んで、次の成形工程へ送る。
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生地を2本のローラーの隙間に通し、うすく均一に延ばしていく。そこに型を押し付けていろいろな形に抜いていく。
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抜き終わった生地は、1枚づつのアミにのせられ乾燥室へ。スチームを利用した乾燥室で 数時間すごし、水分を15%前後にしていく。
そして一晩ねかせた後、別の乾燥機で遠赤外線を使って、十数時間かけてじっくり水分をぬき、最終的に11.5%で一気に焼き上げる。
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- 瀬戸内海小豆島で
400年もの伝統を受け継ぐ
本物の味と香り、
ヤマヒサの醤油 - 歌の「瀬戸の花嫁」の風景そのままの点在する島影の美しさ。特に小豆島はお遍路さんの地としても知られる名刹も多い景勝地。その小豆島は内海町に醤油づくりが行われるようになって400年、私たちヤマヒサは、独自のスタンスから一貫して「こだわりの製法」で本物の味を追求してきました。「生産者である前に消費者である」という経営理念のもと、大量生産のメーカーでは成しえることのできない「少数精鋭の良品完成」を求め続けてきた歴史と伝統が私たちの誇りです。
- 本醸造醤油
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長い年月を経てきた威風堂々の蔵に一歩踏み込めば、香り立つモロミの香り。
そこにあるのはなつかしくも温かい、昔ながらの醤油づくりの原風景です。
こだわりの伝統製法で、大樽を使い天然醸造法でじっくり時間をかけて熟成させました。
そのため、ステンレスタンクではかなわない、微妙な深みのある味わいが出てくるのです。
通常の醤油づくりでは、4ケ月〜6ケ月しかかけないものがほとんどですが、 私たちヤマヒサでは、発行に2年をかけたりするのも珍しくありません。
こうした製法については、この道50有余年のベテランが、 その経験とカンが遺憾なく発揮される、まさに職人芸の独壇場。
その磨きぬかれた技と心は、そのまま若手蔵人へと受け継がれつつ あるのも楽しみです。
- 創業者 有元 正
玄米せんべいに賭ける思いを語る -
有元正(大正14年6月生まれ)
月刊「マクロビオティク1999年9月号No.744」
日本CI協会出版に掲載されたものを引用させていただきました。
アリモトさんの創業は昭和27年ということですが、会社を創業するきっかけは、 どのようなものだったのでしょうか
そうですね。私は戦後、米軍駐留基地での大工仕事をはじめとし、馬力引き(運送屋)、木工場、かき氷の蜜売り、 なめし皮細工、自転車の販売等、それこそ多種多様な事業を手がけてきました。 というのも、そもそも私は農家の長男として生まれたのですが、二歳のときに父を亡くし、母が里帰りして しまったので私は祖母に育てられたのです。祖母にはずいぶん苦労をかけましたから、おのずと、ただがむしゃらに 働いて一家の家計をまかなわざるを得なかったのですよ。そうして、自転車の部品を卸に廻っていたときに、 納入先で姫路の特産物だった「揚げかりんとう」の作り方を教えてもらったことが、菓子製造の事業に着手する きっかけとなりました。昭和27年のことでした。
そうですか。しかし、創業するにあたってはいろいろなご苦労があったのではないでしょうか。 当時のお話を聞かせていただけますか。
たしかに悪戦苦闘の日が続きましたね。これはずいぶん昔のことですが、小麦粉で餅のあられができる機械を見つけ。 「代用あられ」(今で言うスナックのようなもの)の製造に取り組んだことがあります。ところがこの機械が 未完成品でして、まともに機能しないのですよ。おかげで倒産寸前の危機を迎えましたが、研究に研究を重ね、 忘れもしない昭和30年10月、ついに芯から膨れたお菓子ができたのです。これには感激しましたね。 そうしてこの事業がようやく順調にすべりだした頃、知人のアドバイスで、姫路では先駆け的存在として 「草加せんべい」の製造に本格的に着手することになりました。
- 感謝されるメーカーとなれ!
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今でこそアリモトさんといえば「玄米せんべい」として知られていますが、 初めから「玄米せんべい」を作られていたわけではなかったのですね。
はい。「草加せんべい」の製造に携わっていた当社に、 「玄米せんべい」の製造をする機会を与えてくれたのは、義母の言葉でした。それは、「お金儲けのために菓子を作り、 企業が繁栄して財を成したとしても、たいした意味はあるまい。その企業の作り出す商品が、世のため人のために 役立ち、感謝されてこそメーカーとしての存在価値があるのではないか。」という言葉で、当時の私の経営姿勢に 対する手厳しい忠告でした。 私はこの言葉に動かされ、ではいったい何を作れば社会の人々に感謝されるのだろうかと考えつづけたのです。 そしてある日、「食養生の基本は玄米なり」と、玄米正食を説く本に出会ったのです。玄米正食には健康の 維持や体質の改善などに大きな効果があるということですから、この種の本をいろいろ買って勉強しました。 また、それとあい前後する形で、義母が信仰する世界救世教の方が、自然農法による無肥料・無農薬の玄米を 持ってきてくれまして、この玄米で体にいいものを作ったらどうかという助言をいただき、玄米せんべいを つくる運びとなったわけです。 しかし、この商品開発は苦労の連続でして、それまでやっていた、白米を材料にしたのと同じ方法では、 糠がぬるぬると喉にひっかかり、とても食べられるものができないのです。 試作しては捨て、捨てては試作するという毎日で、当然ながら最初は赤字続き。捨て場に困るほどの不良品の ヤマにうんざりし、幾度サジを投げ出そうと思ったか知れません。 しかし、そのたびに義母の言葉を思い浮かべて勇気を奮い起こし、地道に販路を開拓しつづけるうちに、 おかげさまで次第に評価を得るようになりました。
- 玄米の効果を知ってます。
味付けにも化学調味料は
いっさい使っておりません。
アリモトさんの玄米せんべいは他のメーカーの商品と比べてどのような特徴があるのでしょうか。 製造方法など簡単に教えていただけますか。
原料の玄米は自然農法米を使わせていただいております。 この玄米をじっくり前処理してから蒸練機で蒸かし、玄米もちを作るのですが、これは白米を原料としたときと 比べて3〜4倍はかかるのです。 こうして時間をかけてできた生地をいったん水で冷まし、ゴマを加えて成形します。このゴマが玄米特有の 糠臭さを抑え香ばしさを与えます。型抜き後は半日以上をかけてゆっくりと芯から水分を抜き、また一晩寝かせた後、 こんどは乾燥機を使ってまた一晩じっくり水分を抜いていきます。原料から仕上げまでの水分管理というのが、 せんべいの仕上がりを大きく左右しますね。 私自身、玄米を食べている経験で、玄米食の効果というか、威力を充分知ったわけです。 よそ様のことをとやかく言うわけではありませんが、白米の中に玄米を混ぜたり、玄米を一皮だけむいた ものを原料として使った玄米せんべいもあるようですが、これは純粋な玄米せんべいではないですね。 うちの商品は、まったくまるごと使っていますし、味付けにも化学調味料はいっさい使っておりません。 それにどんなものでもそうでしょうが、玄米せんべいもできたてがいちばんおいしいので、できるだけ在庫は しないようにしています。
会長の玄米せんべいに対する情熱が強く感じられますね。今後、商品に関する 課題などはありますか。
私どものメイン商品は「玄米このはせんべい」ですが、これを買われる方から、もっと柔らかくしてほしいとの 要望を多くいただきます。せんべいというのはデンプン質が多いほどふっくらと焼きあがるのです。 玄米はデンプン質以外の胚芽とか糠などの成分が多く含まれていますので、どうしても白米を原料とした せんべいに比べて焼き上がりが硬くなってしまうのです。 ですから原料を玄米のままで柔らかくするのは難問中の難問ですが、これはひとつの課題でしょうね。
最後に会長の信条をお聞かせください。
そうですね。自分の良心に恥じない、本当にお客様に役立つ商品を作っていこうと心がけています。 玄米せんべいを作り始めた動機は先ほど申し上げましたが、あの時儲け主義に走っていれば、とうの昔に やめていたでしょう。実際、何度もやめたいと思いました。しかし、お客様の要望に応えるのが企業の使命 であるという信念で作りつづけてきました。そして現在、環境ホルモン等が世の中を騒がせているのをみると、 「自然で無添加、生命あるものを食べる…」と教えられ、玄米せんべいを作りつづけてきたことは間違っていな かったのだと実感させられます。玄米せんべいの存在は微々たるものかもしれませんが、たとえ小さなことでも 社会に貢献でき、お客様に喜んでもらっていることがいちばんうれしいことです。
- お客様の要望にこたえるのが企業の使命
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